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写実でない臨場感

日曜美術館・アートシーン
Eテレ毎週日曜日、朝9時45分 2013年3月10日放送分。2月6日~3月31日サントリー美術館(東京都港区)で開催中の「歌舞伎座新開場記念展 歌舞伎・江戸の芝居小屋」の紹介が、大変興味深いものだった。

写真が
まだ無かった時代、当時の世相や生活文化の情報は、残されている記録や現物、写真に変わる絵画などを頼りにしなければならない。
日本の江戸時代以前の人々の様子は、浮世絵などで想察するわけだが、それらが決して正しく記録されたものではないということを知った。

こちらは、歌川豊国・勝川春徳合筆の「市村座場内図」
市村座場内図
フルショットの舞台の画面に、観劇の様子が、表現豊かに描写されています。
相撲の升席のような客席が用意されていて、観客は飲み食いしながら観劇している。中には観客同士の喧嘩が始まっている様子も描かれている。
一点透視図法のテクニックが使われていることも興味深い。

だけど、もう1枚の絵画を見ると…
幕末に本図絵
花道に、照明のものでしょうか、ロウソクが何本も立てられている。

役者が芝居をしている奥には、お囃子を奏でる囃子方がいる。

囃子方

舞台の上には、なんと、役者の顔にスポットライトを当てる照明係が。
もちろん江戸時代のことなので、電気なんて通じていないので、これも、長い棒の先にロウソクを立てて、芝居の邪魔にならないように、照明役のスタッフが、役者の前に、面明かりをあてている。(ロウソクだから、面灯りかも)

スポットライト

この絵は
日本人が描いたものではありません。
遣日使節団長として来日していたエメ・アンベール・ドロズが、帰国後にフランスで出版した「幕末日本図絵」の中の1枚。
幕末日本図絵

現在なら、写真で説明されるところだが、西洋人が描いたデッサンで当時の様子を紹介。
歌川豊国の絵と違って、きっと、事実に忠実に描写された絵になるわけだ。

そもそも
目的が違うので、表現や描写にちがいがあって当たり前なのだが、番組で、非常に興味深かった発言は、「囃子方や、黒子の扱いである面明かり役の者は、居てて居ない、お約束のスタッフだから、あえて、画面の中で描かれなかった」という解説。
「裏方や。見えていても居ない存在の彼らが、描かれていないので、歌舞伎の舞台と観客の気持ちが、ストレートに伝わってくる」というのも面白い。

浮世絵からは
知り得ない、当時の正しい姿が、こんなかたちで気付かされたというのは、非常に面白い。
それじゃ、浮世絵はデタラメでダメなのかというと、記録性としては写真の代わりにはならないが、場の雰囲気や臨場感といったものは、写実で描かれた西洋のものより、よっぽど、伝わってくるものがあるように思う。いかがでしょうか?



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大阪で、アニメーションの仕事に関わり、現在は、大阪デザイナー専門学校(旧称・大阪デザイナー学院)で、アニメーション学科とキャラクターデザイン学科の1年生2年生の担任をしています、森宏樹です。 手技や映像に関する授業を担当し、描いたり作ったりの指導をしています。

MORI Hiroki

Author:MORI Hiroki
たった15秒や30秒のコマーシャルが、大きな映画にも負けない感動を与えてくれる。
カメラマン宮川一夫が撮影した「トリスウィスキー」の作品は、大好きなCFのひとつ。

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