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元日に映画の編集テクニックを学ぶ

浜田雅功と伊東四朗が
MCをつとめる新春の恒例バラエティー『芸能人格付けチェック2014年お正月スペシャル』(朝日放送 元日放送)。
楽しみにしているのは、本物の映画監督が演出した映画と、未経験芸能人が演出した映画を、ゲストたちが見極められるかどうかというコーナー。

番組タイトル

今年は、実写版『魔女の宅急便』の清水崇監督と、西川きよし師匠のホラーショートドラマが課題。
方や『呪怨』『富江 re-birth』など和製ホラーを数多く撮ってきた監督と、方や、映画は「見るけど作ったことはない」きよし師匠の演出比べ。

演出者の紹介 

シナリオは共通、以下のとおり。
パーティーで酔いつぶれた主人公が夜中に目を覚ます。
昨晩のことを回想する。
そういえば、呪いのビデオを見たんだった。
付けっぱなしのテレビは、夜中のホワイトノイズ。
リモコンでテレビの電源を切ると、貞子ばりの、髪の毛の長い女性が登場。
ビックリ主人公が、慌てて蛍光灯のスイッチをつけたときに、転がっていたケチャップのボトルを踏んで、滑って転んでひっくり返る、というストーリー。

番組が
チェックした、AB二つの映像の比較ポイントは3カ所。

ポイントは三つ 

ポイント1
きよし師匠の演出は、パーティー参加者が書き残して行った置手紙を見ているときに、昨晩のパーティーの音声がフェード・インしてくる手法。
見た目の手紙の文章のクローズアップ。その画面の中で次の回想シーンの音声が先行して使われている、定番の演出方法

音先行は定番

それに対し、清水監督のとった演出は、PANと照明を巧みに利用した、ワンショットによる場面転換。

PANしながらライティングを変える 

ANアタマPANケツ

真っ暗な部屋のテレビ画面から、右へPANしながら、カットを変えずに照明だけパーティー時のライティングに変え、PANが終わった時には回想シーンとなっているというアイデア。

ポイント2は
パーティーシーンでの、固定カメラと手持ちカメラによる撮影演出の違い。

きよし師匠の固定カメラ 清水手持ちカメラ

Bの手持ちカメラ撮影を採用した高橋監督は、回想シーンとホラーシーンに、メリハリをつけたかったんだって。

最後の3つめのポイントは
ラストシーンの転んだ主人公の画面。

きよし師匠のラストシーン 高橋演出ラストシーン派手派手

馴染みのカット割りやカメラワークを使った演出を使用したきよし師匠と、サービス精神旺盛にオチを付けた清水監督。
このカットの、わざとらしい演出かどうかで、解答者たちの判断が分かれるところとなった。

ふだん馬鹿な話しかできない芸人とは違うのさ、きよし師匠は。

Bの、笑いを誘う演出が、お笑い芸人の演出だと分析した解答者は、泣きを見ることに。

小藪がっかり 

きよし師匠が
「若い娘さんをあんなふうに汚すような演出はしないと思う」と、独り意見をしていた小籔千豊さんはがっかり、頭を抱え込んだ。

小藪談1 小藪談2 小藪談3

ケンコバとは違って、普段の師匠を身近に観察してきたことが、確信の意見として発言される。素晴らしい小藪さん! しかし残念。

ベストチョイスをした
メンバーは、Gacktチームをはじめ、俳優・女優チームが面目を保った。

Bが正解

中でも、黒谷友香さんの観察力に感動。

黒谷友香の指摘グッジョブ

どんなポイントに注目したかというと…

グラスを持つ手がマッチカットになっていない2
グラスを持つアクションがつながっていない3

主人公が、グラスに手を伸ばして持ち上げ、飲むというアクションを、複数のカットに分けてモンタージュしているのですが、アクションがダブったり、持っているはずのグラスが次のカットでは無かったり、もう一度取りにいったり、マッチカットのミステイクを犯してしまっているポイントです。
たしかに、カット割りされたときに、アクションがつながっていない。
演技指導時におけるNGです。

マッチカットになっていない指摘

黒谷友香さん、やはり、同業の女優さんの芝居に目が行っていての気づきだったのでしょうか。
グッジョブです。

ベテラン俳優の
高橋秀樹さんも、さすがです! 熱く語っておられました。

ナメ構図大切です

部屋の中の、人や物の位置関係が、正しく画面に反映されているかどうかということ。
Bの映像は、蛇口など、手前に物を置いて、ナメ構図をうまく利用することで、位置関係をうまく伝えていたことを、編集でカットされるぐらい熱弁されていました。正解してよかったね。

西川貴教、吉本実憂、ローラ、指原莉乃、ケンコバといった若手メンバーは、「ムードが」「雰囲気が」「怖かった」という具体性に欠けるコメントで、勉強になるような言葉は出てこなかった。
そんな中で、吉本新喜劇の座長である小籔千豊さんの着目点は、映画演出のポイントではなかったが、人間西川きよしを知る立場からの観察で非常に面白かった。

Aの演出はきよし師匠ですが
カメラマンや編集のオペレーター、照明や音声さんはプロの技術者ですから、毎年、この、ドラマ演出の格付けチェックで、正解を手に入れるのは難しいところがあります。
常にスタッフの方で、このような明らかなミスをちゃんと用意しておいてくれているのかもしれません。

演出のアイデアやテクニックって、見る側の好き嫌いもあるわけですから、これも解答者泣かせの理由です。

リモコンを取ろうとしたときに、突然出てきた不気味な手。
きよし師匠の編集は、画面に手が映った瞬間にカットして、すぐ、恐怖の主人公の表情にモンタージュ。
それに対し、清水監督は、出てきた手がフレーム・アウトするまで使っている。

手を引いて画面の外へ

きよし師匠の編集は、主人公が、実際に見たのか見なかったのか、わざと不明確にさせて恐怖感を誘っている。
清水監督の編集は、確かに、何かがテーブルの向こうにいる恐怖感。
いるものに恐怖を感じるか、いないものに恐怖を感じるか、どっちに恐怖を感じるのかは、観客によって違います。

今回の清水崇監督の演出は、場面転換の手法といい、ラストシーンといい、根本的には西洋型のエンターテインメントのサービス性のある発想を大切にする監督と言えるでしょう。

きよし師匠の演出のこだわりは、番組内では紹介されませんでしたが、何もなかったわけではないように思います。

今まで見てきたもののパターンを思い出して作ったものなのか、そうじゃなかったのか。
こだわりを持って、そのこだわりを一貫してつらぬいて、その効果がそのとおりに観客にとどいたかどうか。そこが大切なところでしょう。



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プロフィール

大阪で、アニメーションの仕事に関わり、現在は、大阪デザイナー専門学校(旧称・大阪デザイナー学院)で、アニメーション学科とキャラクターデザイン学科の1年生2年生の担任をしています、森宏樹です。 手技や映像に関する授業を担当し、描いたり作ったりの指導をしています。

MORI Hiroki

Author:MORI Hiroki
たった15秒や30秒のコマーシャルが、大きな映画にも負けない感動を与えてくれる。
カメラマン宮川一夫が撮影した「トリスウィスキー」の作品は、大好きなCFのひとつ。

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