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映画の、歌って踊るシーン三作品比較

映像演出論・第4回目(10月24日の授業より)

映画の歌って踊るダンスシーンを教材に、カット割りの違いを比較

ダンスシーンは、人物が体全部を動かすアクションシーンなので、ショットサイズはフルショットが基本だ。
歌いながら踊るとなると、歌手の表情を捉えるアップショットも使用するはずだ。
歌番組なら、マイクに向かって歌うだけのような東海林太郎(しょうじたろう… と言ってブログを読んでくださっている人の何人の方がご存知か?)や、前川清といった演歌歌手なら、歌っている顔を中心にアップショットで撮影されるでしょう。
同じ演歌歌手でも、氷川きよしや都はるみのようにアクションが大きな歌手なら自然と引いた画面が多用されるでしょう。最近ではジェロ。
ジャニーズに代表されるような、ダンスがメインの歌手達は、彼らの派手なアクションをおさめるため、フルショットやロングショットといったショットサイズが中心になるはずです。
踊らない演歌歌手でも、着ている衣装が華やかで美しい衣装だったりすれば、顔ばかり写さず、全身を写すフルショットが使われるでしょう。

『モダンタイムス』 Modern Times 
(1936年 チャールズ・チャップリン監督、主演)

前回教材にした『街の灯』の次に制作された作品。
カット割りは
歌っているチャップリンの表情を良く見せるためのアップショットを挿入したり、困ったチャップリンに舞台の袖でアドバイスする彼女のアップショットを挿入している。
カメラワークも
ホールを動き回るチャップリンをFollowするPANが使われているが、やはり基本は、客席側から舞台を見せられている発想で撮られている。

カフス(袖口)にカンニング用の歌詞を書き込むところだけは、見た目のクローズアップが使われている。

 


 



『雨に唄えば』 Singin' in the Rain
(1952年 ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン監督)

スタンダードナンバーとしても有名な「Singin' in the Rain」。ジーン・ケリーが深夜の雨の中を晴れ晴れとした気持ちで歌う名場面。
『モダンタイムス』のティティーナのシーンが、ダンスホールの限られた空間が舞台なのに対し、ここでは何ブロックも続く街の路地が舞台。
歌うジーン・ケリーは、楽曲中、踊りながら、どんどんと進んでいく。
あわせて、カメラもそれに付いてFollowし、進んで行く。
PANではなく、移動撮影だ。
撮影は、ドリーしていく並行移動だけでなく、カメラをクレーンに乗せて立体的に移動し、それに伴いアングルも水平アングルだけでなく、俯瞰で見おろしたり、さまざまである。
通りを見おろすロングショットもある。

『モダンタイムス』からさらに20年ちかく経って作られた、お金も手間も掛けて作られたハリウッド映画。
広いスタジオ(まるでロケのように)を縦横無尽に、役者もカメラも動き回る。
豊富なショットサイズ、そしてアングル。
カメラの目は、まるで生き物のように動き、画面を作る。

singin' in the rain 
チャップリンの映画よりも
色々な構図が使われているが、カット割りは?
1曲なので、ワンシーンワンカットとも思えるが、巧みな編集でカットがきざまれている。
しかし、多いというわけではない。

ショットサイズは
やはり、フルショットを中心にした引き気味な画面。

ただし
カットが変わる直前に、カメラは、ススッと役者に寄って行って、アップショットになってからカットを変える。

ロングショットどうしではつなげないのだ!
これは、編集の常識。
同じサイズどうしをつなげたり、引いた画面どうしをつなげるのは非常にわざがいる。
アップショットをはさんでつなげるのは、カットをつなぐときの常識である。

 

『オール ザット ジャズ』 ALL THAT JAZZ 
(1979年 ボブ・フォッシー監督)

さらに20年

とは言っても、受講している学生たちはまだ生まれていないころの映画ですが。

この映画のカット割り、画面の豊富さを見ると、『雨に唄えば』よりもさらに盛りだくさん。

踊る人物が二人、観客役が一人いるので、シチュエーションに違いがあるが、どうですか?

大仕掛けのクレーン撮影はありません。
舞台が部屋の中なので、仕方ないです。
しかし、移動撮影、PANなど、カメラは自由に動きます。

何よりもカットが多い!

何回も分けて撮影しているというよりも、テレビ中継のように複数カメラを使って同時に何台もの視点で撮っているのかもしれません。

役者もよく動き
曲もアップテンポで調子いい。さらに、カット割りが画面の流れにリズムを作り、チャップリンやジーンケリーのように、役者の演技の力だけで魅せるというものから、完全に別のものへと脱出しています。

そう、
カット割りは リズムを作るのです!
 
テンポ良く
とても楽しいシーンになってます。

ALL THAT JAZZ1 

これらのカットは
踊っている母と娘の画面ですが、そこに、見ている父親のカットが挿入されます。
度々。

ALL THAT JAZZ2 

踊っている親子の
画面ですが、座って眺めている父親の視点を意識してるのでしょう。
カメラポジションは低く、アオリのアングルが殆どです。(ローアングル)
でも、
真上から真下を見おろしたとんでもない構図のショットが、たった一箇所だけですが使われているのです。
さりげなく、しかも大胆に!
探してみてください。

  

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プロフィール

大阪で、アニメーションの仕事に関わり、現在は、大阪デザイナー専門学校(旧称・大阪デザイナー学院)で、アニメーション学科とキャラクターデザイン学科の1年生2年生の担任をしています、森宏樹です。 手技や映像に関する授業を担当し、描いたり作ったりの指導をしています。

MORI Hiroki

Author:MORI Hiroki
たった15秒や30秒のコマーシャルが、大きな映画にも負けない感動を与えてくれる。
カメラマン宮川一夫が撮影した「トリスウィスキー」の作品は、大好きなCFのひとつ。

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