キャニメーションの森
2006年4月から開設していましたブログ「アニメーションの森」の続編です。デザインの専門学校で一昨年前40周年を迎えたアニメーション学科の学生たちの授業の様子やキャンパスレポート、卒業生の活躍を主に更新しておりますが、その役割はODCのホームページに任せて、ここのところは、プライベートなことをつぶやいています。
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『赤ひげ』 黒澤明監督 1965年 東宝
狂女のシーン
保本 登 : 加山雄三
狂女 : 香山京子
病室から逃げ出したお嬢さん、保本の部屋に現れる。
突然の登場に保本はびっくり。
横になっていたが、起き上がる。
ここからが、授業で教材として使用したシーン。
シーン・保本登の部屋
カット1
二人の位置関係、特に視線の関係から、患者であり、女性である、彼女の立場の弱さを構図で説明している。
立場が弱くなった彼女に、距離をつめて近づく保本。
構図のバランスを保つため、カメラはトラック・アップして構図の修正を行う。
保本も、座り、患者と目線の高さを合わせようとする。
患者に、立場が同等であることを伝える配慮。
さらに、距離をつめていく。
他人に言ってはならない身の上話をしてしまった自分に気づく女。
「殺される、殺される」
おびえて逃げる女。
「落ち着け、落ち着け」と言って、なだめる保本。
女が、右へ左へ動き回わるのを、フォローで追いかける。
二人の距離が狭まるにつれ、カメラはさらに寄っていく。
ここで、カットが変わる。
カット2
しがみついた彼女を、保本の背中側から写す。
二人のシルエットと、壁に映った影(シルエット)が、相似形で連続していて、平面構成としても面白い構図の効果を表現。
話を続けながら、保本の背中に袖を巻きつける。
さらにカットを割って、
カット3
画面から二人の表情を排除させた、クローズ・アップ。
着物の袖を使って、男を逃がさないように、縛りつけていることが、はっきりと説明される。
かんざしで、人を殺した打ち明け話とシンクロして、今、かんざしを抜く。
保本も気づくが、手遅れ。
体の自由を奪われてしまっている。
恐怖に引き攣りながら、必死で逃げようとする保本。
カット8
再び、恐ろしい形相に変わったおんなのアップショット。
保本の口を、自分の口で塞ぐ。
若い男は、完全に参ってしまった。
ロマンチックのかけらもない接吻。
女の目が、在らぬ方向を見ているのが恐ろしい。
一瞬、カメラが引かれる。
カット9
参ってしまった男が、抵抗できず、腕を〝だらん〟とさせてしまう瞬間を見せたカット。
首筋に、かんざしをを突き立てようと力が入る。
抵抗するが、どうにもならない。
そのとき、扉が開き、間一髪のところで助けが入る。
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