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アニメーション表現技法3種紹介

1年生アニメーション学科の
アニメ作品研究も、今週で最終週を迎えます。
学期末がせまり、提出作品の採点に時間を盗られるなどで、授業の準備に手が回らず、ここ2週間続けて教材に使用して見せるアニメーション作品についての解説プリントも配布しない始末。

さぼってたんでしょ!

そうかなあ。
ワールドカップのせえではないと思います。

授業で
伝えきれなかったプラスαの話しを、このブログに期待してくれている学生もいてくれているようで、がっかりさせないためにも今回は、最後の授業で見せる作品の技法についてお知らせ。

ロトスコープアニメーション
モデル(一般的には人物)の動きをカメラで撮影し、それをトレースしてアニメーションにする技法。
マックス・フライシャーが1915年に、イメージが写されたフィルムを紙に投射してトレースするための道具考案し、その後いくつかのアニメーション制作に使用している。
ディズニーの長編アニメーション『白雪姫』や『ピノキオ』『不思議の国のアリス』でも、リアルなプロポーションの人物の動きを中心に、ロトスコープが使用されている。
しかし、ディズニーは、それらの作品にロトスコープを使用したことを、あまり積極的には触れたがらない。
実際、4度にもわたる段階的なトレースの過程で、漫画らしくデフォルメーションするなどの方法をとり、ディズニーにとってはロトスコープ技法自体が制作の目的ではなく、制作の過程においてのひとつの手段としての位置づけでしかなく、あくまでも創造創作が我々の基本スタンスであるというプライドがあるからだろう。(パイオニア株式会社レーザーディスクANIMATION ANIMATIONシリーズ『ファイヤー&アイス』小野耕世氏の解説より)

午後からの授業では
このロトスコープ技法を好んで使用して数多くの作品を手がけた、ラルフ・バクシの『ファイヤー&アイス』を教材でとりあげる。
1979年『指輪物語』、1981年『アメリカン・ポップ』に続いて1983年に発表したファンタジーアドベンチャーアニメーションだ。

当講座では
この3週間、表現技法にこだわって、アニメ作家を紹介してきた。
前回はピンスクリーンアニメーションをテーマに、アレクサンドル・アレクセイエフ作品とジャック・ドゥルーアン作品を。その前の週は、カットアウトアニメーションをテーマに、ユーリ・ノルシュテイン作品を鑑賞した。

ピンスクリーンアニメーション
白いボードに出したり引っ込めたりできる細かい針(ピン)を25万~50万本ほど並んでいて、その針の画面でのとび出しの高低から生ずる影を利用して画面上に濃淡をつくり出し、それによって描かれるイメージをコマ撮りしながらアニメーションを制作す技法。
アレクサンドル・アレクセイエフ(Alexander Alexeieff)とクレア・パーカー(Claire Parker)によって1931年に考案され、NFBのジャック・ドゥルーアン(Jacques Drouin)に受け継がれてた。

アレクサンドル・アレクセイエフとクレア・パーカーによるピンスクリーンワークショップ ジャック・ドゥルーアンの「マインドスケープ」 

norshuteyn話の話カットアウトアニメーション
切り紙アニメーションのことである。
アニメーション草創期からある技法で、セルが登場する以前からアニメーション技法として存在。
日本のアニメはマンガで描かれたものが主で、自由に描いて自由に動かすことについては素晴らしい技法であるが、キャラクターだけでなく背景も描くとなるとものすごい手間が必要である。動いていない背景も1コマずつ描かなければならないから。背景とキャラクターを分けて動かして表現するには切り紙アニメの手法が必要だった。

セルの登場で、ひとつのカットに背景1枚で画面が完成するスタイルになり、日本のアニメは大量生産、分業制作に向いたセルアニメが主流となる。

しかし、カットアウトアニメは、すべてが均質な質感になってしまうセルアニメと違い、切り紙なら画材のマチエールを活かした表現が可能だということが理由で、視覚表現にユニークさを求める海外の制作やアートを目指す作家の間では、好んで使用され、発表されている作品がたくさん存在する。

ロシアのユーリ・ノルシュテイン(Yuri Norstein)は、キャラクターのひとつひとつのいくつものパーツの表面を傷付け、そこにインクを染み込ませて着色し、細かく裁断して何重にも重ねていくという方法をとっている。
微妙な表情変化など、繊細な演技が感動的。
学生たちには『話しの話』のオオカミのしぐさや動きに注目してもらい、ノルシュテインの仕事の素晴らしさを見てもらった。

ノルシュテインの仕事場 

CGが全盛となった現在でも、スキャナーで素材の質感を取り込み、カットアウトのテイストをデジタルアニメに活かすことで、CGらしからぬ画面作りを目指す作家が大勢いる。
手作り感の良さを、感じてほしい技法である。



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プロフィール

大阪で、アニメーションの仕事に関わり、現在は、大阪デザイナー専門学校(旧称・大阪デザイナー学院)で、アニメーション学科とキャラクターデザイン学科の1年生2年生の担任をしています、森宏樹です。 手技や映像に関する授業を担当し、描いたり作ったりの指導をしています。

MORI Hiroki

Author:MORI Hiroki
たった15秒や30秒のコマーシャルが、大きな映画にも負けない感動を与えてくれる。
カメラマン宮川一夫が撮影した「トリスウィスキー」の作品は、大好きなCFのひとつ。

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